お寺の後継で移住し 遺品整理の事業を開始【陶尾(すえお)裕子さん(わたしホーム)】

更新日:2022年12月28日

陶尾さん_顔写真

親切が不安を打ち消してくれた

 普段は、夫である住職のサポートをしているほか、自分の仕事として遺品整理やお片付け、高齢者の終活支援などの会社の代表を務めています。

 夫婦2人とも愛知県出身ですが、たまたまご縁があり、高平地区にある友松寺の住職としてお声がかかったことをきっかけにこちらに来ることになりました。

 実は、失礼ながらそれまで「三田市」を知らず「ミタ市?」って感じで。最初の情報では村にコンビニがあり、神戸も大阪も近いという話だったんです。でもいざ来てみたらコンビニじゃなくて夜には閉まってしまう商店で、神戸・大阪どころか山奥のお寺でした(笑)。

 来るまでは、田舎のお寺ということで閉鎖的じゃないか?村の人たちとうまくやっていけるのか?と不安もあったのですが、村のみなさんからしたら孫のような若い夫婦が小さい赤ちゃんを連れてきたので、心配で仕方がないという感じで。野菜はあるか?お米はあるか?と親切な方が多くて、地域に受け入れていただいていると感じています。

陶尾さん_お寺で掃除をしている写真

無駄遣いができないのが家計に良い

 長男が生後7か月の頃に移住したのですが、そこから家族が増えいまは夫婦に2男1女、ねこ2匹で暮らしています。

 子育てはすごくしやすいですね。季節を肌で感じられるし、生き物も多いので、まちと比べるとのびのび暮らせると思います。特にコロナで休校になった期間でも、うちの子たちは外で遊べましたし、人混みがないのでノーマスクでノーリスクでした。近くに川もプールもあるし、庭先も広いので友達とバーベキューができるし、高平地区から出なくても十分楽しめるんですよ。

 お買い物は、スーパーまで車で30分かかるので正直ちょっと不便ですが、慣れてくると無駄な買い物をしなくなりますね。そもそも近くにお店がないので、無駄遣いのしようがありません(笑)。

 お野菜はいろいろいただくので不自由はないです。この前も採れたてのにんじんをスティックにして子どもに食べさせたら「にんじんってこんなに美味しいの!?」と驚いていました。知っている人がつくっているという安心感もあります。

陶尾さん_遺品整理1
陶尾さん_遺品整理2

仕事を通じて地域に良い循環を

 私の会社の仕事は、お寺である強みを生かしつつ、地域の課題解決に繋げたいなと思っています。最近は生前整理をおすすめしています。生きている間に整理することで子どもに迷惑をかけずに済むし、不要なモノに囲まれることなく整った部屋で毎日を過ごした方がよりよい人生になると思うのですよ。生前整理や終活支援についてはセミナーを開催することが多いですね。

 私たちも空き家だった古民家を再生して住んでいるのですが、空き家を放置するよりも、そこに手を加えることで新しい人が入ってきて、コミュニティが若返れば地域も活性化するじゃないですか。遺品整理や不要品の処理、家じまいなどのお手伝いが、次の住人に繋がる良いサイクルを生み出す第一歩になればいいなと思います。

 この業界は男性が多いのですが、安心してご利用いただけるよう女性が対応しています。この地域は働き口が少ないとか、育児で時間の融通がきかないとかで働きたくても働けないお母さんがいっぱいいるので、その受け皿にもなりたいですね。また、空き家を発掘してもっと循環させていきたいなと思います。そのためにも、自分が田舎暮らしをもっと楽しんで、その楽しさを発信していきたいですね。