昼は創作、夜は一杯 セカンドライフを満喫中!【海野(うんの)芳樹さん(アートシティさんだ研究会)】

更新日:2022年12月23日

海野さん_顔写真

三田の魅力、北海道や海外に勝る!

 私は東京のど真ん中の生まれなんですよ。移住前の半年くらいは東京で仕事しながら、週末に三田に通って、工房の土地を探すなどの下準備をしてきました。

 なんでわざわざ東京から?ってみなさんに疑問に思われるんですよ。私は化学系エンジニアとして全国を転々として、住民登録をしたことがある場所が13~14か所。関西で暮らしたこともあって、阪神・淡路大震災の時は神戸に住んでいたんです。その頃にゴルフなどでよく遊びにきていたので、三田は昔から馴染みのあったまちなんですね。また、妻は西宮の出身なんですよ。

 移住先の候補はほかにもありましたよ。北海道の北広島市に半月お試し移住しましたし、ほかにも宮崎やフィリピン、ニュージーランドも考えていました。その中で三田に落ち着いたのは、義母が西宮にいたこともありましたが、いろいろ回っている中で非常に気に入ったからですね。里山が好きで、東京にいた頃も千葉の成田に工房を持っていたんですよ。

 現在は三田駅前のマンションで暮らしながら、毎日この工房に通っています。マンションは設備も良くて、駅前で便利なので購入して良かったなと思います。

海野さん_作品

自然に囲まれた工房でガラス作品を

 昼は工房でものづくりに没頭して、夜はまちで一杯(笑)。三田駅前には良い飲み屋さんがたくさんあるんですよ。ああいう裏路地、私は好きですね。これは三田ならではで、自分の理想としていた老後の過ごし方ができているなと満足しています。

 工房では基本的にガラス作品を手がけていますが、最近はガラスを使ったり使わなかったり。アクリル画も描いています。三田は昔から素晴らしい造形作家がいるんですよ。新宮晋さんとか、最近では三宅之功(しこう)さんとか。そのあたりも魅力に感じましたね。土地の広さとか、騒音とかの問題で都市部ではできないことも、三田ならできます。

 三田の自然環境は創作にも良い影響があります。都心でマンションに囲まれていてはイマジネーションも浮かばないけれど、こうやって青空が広がり鳥の声が聞こえたりするところでは、やっぱり発想が変わってきますよね。

 生活も便利ですよ。周辺に洗練されたショッピング施設がありますし、大きな農産物直売所もあって、買い物は都会より良いかもしれません。

 三田は災害も少ないので、安心して暮らせます。このまちに美術倉庫をつくったらビジネスになりそうですね。

海野さん_制作風景

三田に「芸術の園」をいつの日か

 三田はアーティストが多いのに、美術館がなく、発表の場も限られているんですよね。それで、2021年4月に私が言い出しっぺになり「アートシティさんだ研究会」という団体を立ち上げて、「アート溢れるまちさんだ」に向けて活動しています。会員は現在50名くらいですかね。美術館はすぐにはできませんが、デジタルミュージアムならできるだろうとその実現をめざしています。また、三田駅前の喫茶店に地元の作家の作品を飾り、それを販売するような仕組みづくりもしています。

 アートシティさんだ研究会では先日、三田ゆかりの画家、大石輝一の没後50年特別展を企画して開催しましたが、三田市や文化庁の支援もいただいて大きな展覧会になり、好評だったんですよ。大石さんがつくったアートガーデンが市内にあるのですが、設備が痛んでいて、みんな残念に思っているんですよね。今回の展覧会を機会に大石さんのご親族など関係者ともお話ししまして、何とかアートガーデンをみんなが楽しめるような場所にできないかなと考えています。大石さんの作品を飾り、彫刻や石碑などに気軽に触れられるだけでなく、若手芸術家に移住、活動してもらえるようにアトリエスペースを設けて、大石さんが望んでいた「芸術の園」を実現できればいいですね。