ゆかりのある三田へ戻って "情熱"を胸に農業を【久保和也さん(あまくぼ農園)】

更新日:2022年12月25日

久保さん_顔写真

2度目の移住でUターン

 実は、移住は2度目なんですよ。1度目は奄美大島に家族で移住して素晴らしい自然環境の中で暮らしていました。以前からずっと自然豊かな場所で暮らしたいという思いがあり、それでサラリーマンをしながら週末は全国を飛びまわり自分たちに合う移住先を3年くらい探して、結果、妻の意見もあり奄美へ移住したんです。

 奄美では縁あって実証農園の管理をしていたのですが、そこで営農指導員に学びました。その経験によって農業者として認められ、兵庫でも農業ができるということと、母を亡くした父親のそばに居たいという思いから、三田へのUターンを決意したんです。奄美大島はとても良いところでしたので、名残惜しかったですけれど。

 以前三田に住んでいたのは小学校3年生から高校まででしたが、中学からは大阪の学校へ通っていたので、実質、小学生時代の4年間しかないような感じでしたので、戻ってきてはじめて三田市民になったような感覚です。

久保さん_小屋

南国果実の栽培に挑戦

 現在はウッディタウンに住みながら、広野地区にある畑へ通って農業をしています。三田に戻ることを決めた時、まず農地を探しました。この農地は知り合いを通じて繋がった地元の人のネットワークを頼って見つけました。居抜きのようなところで、納屋やハウスも揃っていて、すぐにでも農業ができる状態だったんですよ。

 主に栽培しているのはパッションフルーツです。奄美ではポピュラーですが、三田ではほぼはじめてみたいですね。奄美時代は営農指導員だけでなく、ほかの町の農家からも技術を学び、より良いパッションフルーツ栽培ができるよう日々努力していました。三田は気候が違うから栽培に向かないのでは?とよく言われますけれど、技術には自信がありますし、僕ができなければ誰もできないという思いでやっています。

 有機JAS認証を受けているパッションフルーツは全国でもほとんど無いと思います。また、奄美産や沖縄産と出荷時期が違うこともあり、より多くの人にパッションフルーツを知ってもらえる可能性も秘めています。

久保さん_畑にて

生き方を考えるにはベストなまち

 農業が盛んな三田では農政が手厚いと感じます。市の農業創造課は親身に相談に乗ってくれて本当に感謝しかないですし、農業委員会も現実的な話をしていただきとてもありがたいです。

 三田は農村、市街地、ニュータウンとエリアが明確に分かれているまちだと思いますが、僕は対比できるものを同時に持つことで落ち着く性分で、ニュータウンに住みながら農村で働くことができるこの環境はとても魅力的です。このあたりの農村部は、豊かな自然や素晴らしい里山の風景が残されている一方、車で少し走ればスーパーにもショッピングモールにも行けて、かなり便利なところだと感じます。

 一方で、初期に開発されたニュータウンには僕らと同世代が少ない気がします。もし30代くらいで自然のある暮らしを考えているならば、豊かな環境と利便性も兼ね備えた三田は生き方の選択を考える上でまたとない場所なので、Uターンを含めて、三田への移住はおすすめですね。

 パッションフルーツのニーズは高いので、作付面積を拡大しようと考えています。また、こちらで僕以外にも生産する農家が増えてもいいと思いますし、主生産地である奄美と連携してパッションフルーツを盛り上げることで、恩返しできればと思っています。